愛は戦いである

平成版の映画『愛と誠』

愛は戦いである

『巨人の星』や『タイガーマスク』の梶原一騎が原作で、ながやす巧が絵を描いた『愛と誠』は元々は少年マガジンで連載されていましたが、大人気となり映画化され、テレビドラマ化もされラジオドラマにもなるほど大人気となりました。『愛と誠』の映画は三部作になっていて、1974年の『愛と誠』1975年『続・愛と誠』1976年『愛と誠・完結編』となっていますが、昭和の大ヒット映画が21世紀2012年に再び映画『愛と誠』として公開されました!監督は鬼才と名高い三池崇史監督です。【誠】を演じるのは妻夫木聡。三池監督とは、「SABU さぶ」以来となりました。【愛】を演じるのは武井咲です。

1970年代の映画とは違って、ミュージカルではないけど『歌とダンス』がたっぷり盛り込まれた、ストーリーはあくまでも真っすぐな恋愛ですが、見どころたっぷりののエンターテインメントで彩られた異色な純愛映画になっています。

『愛と誠』あらすじ 序盤編~

冒頭は昭和時代の映画と同じく、インドのネール元首相の名言で始まります。漫画の原作でも使われたネール元首相が娘さんに宛てた手紙が引用された文です。

「愛は平和ではない。愛は戦いである。

武器のかわりが誠実であるだけで それは地上におけるもっともはげしい厳しい みずからをすてて かからねばならない

戦いである  わが子よ このことを覚えておきなさい」

そして「愛は戦いである」の後にアニメーションシーンとなり、映画は始まります。

名門の青葉台学園の生徒になっていた早乙女愛は新宿地下街で不良グループに絡まれたところを、上京していた太賀誠によって助けられる。札付きの不良になっていた太賀誠は乱闘の責任と問われ少年院へ送られる。額に一文字の傷がある太賀誠を見た早乙女愛は彼があの時の少年だと気がつき、父親の力を借りて彼を自分が通う青葉台学園へ編入させる。

ヒロインの早乙女愛(武井咲)と、主人公の太賀誠(妻夫木聡)が出会った頃が描かれます。まだ幼い愛はスキー初心者というのにも関わらず、斜面を急降下してしまって自分ではもう止められないまでに暴走してしまいます。キャーーーーーーーー!!!となったところを、自分の身体で止めてくれたのが誠でした。そして誠の額には、痛々しい傷跡が・・・

それから11年の時が流れて、舞台は昭和47年(1972年)愛と誠は運命の再会を果たすのでした。

風が巻き起こる中で、見るからに悪そうで喧嘩の強そうな男が立っています。その男が大賀誠です。

激しい恋:西城秀樹

♪やめろと言われても いまさら遅すぎた!♪ この出だしで始まる1974年西城秀樹の大ヒット曲を誠を演じる妻夫木が踊りながら熱唱します。

たくさんの不良たちも誠と一緒にダンシング。まるで劇画がプンプンただよう雰囲気の中、リズムを感じるダンスの振りつきはパパイヤ鈴木。ひたすら不良たちと誠はかっよく、最初の映画で誠を演じた西城秀樹を彷彿されるような世界観の中で『激しい恋』を歌い踊っていきます。

歌の後にそのまま「不良たちVS誠」乱闘シーンになりますが、そんな乱闘の中でポワーッと誠をじっと熱い視線を送っているのはお嬢さまの早乙女愛(武井咲)運命の再会を果たして誠の姿しか目に入らない様子です。

「不良たちVS誠」の乱闘をお嬢様の愛が「やめて~~!!!」と喧嘩を止めようと入りますが、誠に愛は手加減なしで襟をつかまれ、乱暴に扱われてしまいます。

でも愛はまったく自分に言われているとは気づかない天然ぶり。まさか自分に言われているとは気づかずに後ろを振り返ると、誠から「お前だよっ!」と言われビンタまで愛は受けてしまいますが、???と事情が飲み込めない様子。まさにお嬢さまゆえの天然ぶりを発揮して、そのお嬢さまにガンガンツッコミを入れていくのが誠でした。

乱闘中の中に警察が到着しますが、愛は誠の足にしがみついて離れません。逃げたくても逃げれない誠。結局そのまま機動隊に飲み込まれてしまい誠は御用となりました。突入した警察官までもが愛のことを、早乙女財閥のご令嬢だと気を使う超有名なお嬢さまの早乙女愛。誠は早乙女愛という名前を聞いて、あの時の女の子だ!と思い出すのでした。

「クソ女っ!!てめえ~、覚えてろよ!!」と捨て台詞を愛に向けて言いますが、どこ吹く風の愛。結局、そのまま札付きの悪の誠は、少年院送りになりました。

少年院では誠のことを待ち構えていたかのように、後ろにも不良はいてジリジリと誠を取り囲んでいき、さあ、ファイト開始!とまさに殴り掛かろうという瞬間に、誠はなぜか釈放されました。そしてなぜだか名門高校の生徒になりました。それは、早乙女財閥から鶴の一声で名門高校に転入となったのでした。

空に太陽がある限り:にしきのあきら

誠は名門青葉台学園高校へ転入しますが、転入した初日に、不良姿の誠に注意をする先生(前田健)が誠に「まるで月光仮面だ」というと、どうも誠にスイッチが入るようで、誠の強さはパワーアップ!めちゃくちゃ強さを増すのでした。とにかくお行儀の良い生徒ばかりが集まる青葉台学園に野蛮人さながらの不良男子が入ってきたので、今まで乱暴者などみたことないお嬢さまやお坊ちゃまは、誠の暴れっぷりを見てびびりまくりです。

暴れている誠ですが、少年時代の回想シーンになりますが、少年時代の誠(加藤清史郎)が少年時代も大暴れしています。ここでネタですが、子供店長として活躍した子役の加藤清史郎くんですが、NHK大河ドラマ2009年『天地人』で主人公:直江兼続を妻夫木が演じました。そして幼少時代を演じたのが、加藤清史郎くんなんです。

この作品でも妻夫木聡の子供時代を加藤清史郎が見事にはじけて友達をボッコボコに殴ってる少年誠を演じています。

ここで少年時代の回想シーンとなり、そこでも友達をボコボコにしているのですが、

暴れている誠の所へメガネをかけたメガネ男子秀才の、岩清水弘(斎藤 工)が登場します。メガネ男子の岩清水は、愛が好きで好きでたまらず惚れ抜いています。

「早乙女愛よ、君のためなら死ねる」とまで言うほど惚れているのですが、愛と岩清水とのやりとりを見る限りなかなか前に進めていない様子。岩清水は【早乙女愛!命!!】を掲げる親衛隊状態です。

岩清水は「おい、メガネ!」とメガネ呼ばわりされていますが、笑えるほどドンドンドンドン巻き込まれていきます。ここで歌われるのが、♪あいしるぅ~(愛してる)とても~ぉ~(とても)あいしてるぅ~(愛してる)ほんとに~(ほんとに)の、にんきのあきらの『空に太陽がある限り』です。オーバーパフォーマンスで、岩清水が学芸会のような乗りで学芸会レベルの振り付けで、頭を抱えながら熱唱するこの曲は、笑いどころ満載です。ウザッとも感じる熱いキャラの岩清水の熱演パフォーマンスを、誠はつめた~い眼差しでみているのもまた笑えてきます。

「おいっ!メガネ!!」とメガネ呼ばわりする誠に対して「メガネは顔の一部なんだぞ!」とキャラたちまくりの岩清水に対して「意味分かんねえし・・・・」とナイスなツッコミを入れる誠とのやりとりはコントを見ているようです。

とにかくどうしてここまで悪すぎるのか分らないほど、とにかく誠はひどい暴れん坊で、手の付けようのない始末です。早乙女愛は一途なまでに「誠を立ち直らせたい!」という気持ちそれだけで、名門高校として名高い青葉台学園に編入させたのでした。愛は誠にたった一度だけ助けてもらっただけですが、誠は本当はとても温かい心の持ち主なの。と訴えます。

誠は「このお嬢さんは、俺に心底惚れてるんだよ。つまり、俺のことを愛してるんだよ。」と言いますが、この誠の発言に対して、岩清水は愚かな奴は妄想が激しすぎるんだよと言います。しかし誠は「お前だけには言われたくないよ」と、ここでも岩清水に間髪入れずに突っ込むのでした。

あの素晴らしい愛をもう一度

♪命かけてと 誓った日から ♪で始まるフォークの名曲『あの素晴らしい愛をもう一度』を早乙女愛を演じる武井咲が熱唱します。あの素晴らしい愛を・・の『愛』の部分ではタメ入りで。このフォークソングを熱唱する姿がまたかわいいです。

誠を盲目なまでにただひたすらに愛し、なんでも誠のためなら何でもするから!という早乙女愛に対して、誠は調子に乗り「お金を出せ」と言い出します。財閥の早乙女家は、誠が生活ができるようにとアパートを準備して、生活をするための最低限の生活費まですべて早乙女家が面倒をみます。

誠が生活を送るアパートは、これまたフォークソング南こうせつの名曲『神田川』の世界観が溢れるぼっろいアパート。でもそんなアパートに不釣合いなゴージャスなシャンデリアがかけられています。早乙女家からアパートの世話から生活費まで面倒を見てもらっているにもかかわらず誠は「生活費を稼ぐためにバイトをしていたら、勉強が出来なくなるだろ!」と愛にさらにお金をよこせと要求します。

お嬢様の早乙女愛の父親早乙女将吾を演じるのは、ミュージカル会のスーパースター市村正親。早乙女愛の母、早乙女美也子はこの映画のテーマ曲を歌う一青窈が演じています。ここで、歌ならお任せ!の2人が一青窈の作ったオリジナル曲を歌い上げますが、この世界観はまさにミュージカルを見ているようです。全身全霊で歌い上げる様子はこれぞミュージカル魂を見せられるような気がします。

さすがのお嬢さまの愛も、これ以上両親にお金の無心をすることはできません。そこでお嬢さまの愛は学校の校則でアルバイトは禁止されているのですが、誠のために校則を破ってアルバイトをすることにしたのです。

怪しい純喫茶

愛は純喫茶でアルバイトをしようとしたのですが、そこの純喫茶がとてもじゃないけど純喫茶とは思えない雰囲気プンプンの昭和臭漂うレトロなクラブ。ますます怪しげな雰囲気を演出するのは、そこに美保純がでてくるから余計怪しさが増してきます。

愛が着るウェイトレスの制服は、アンナミラーズのような超ミニに、ニーハイのピンクフリフリのメイドカフェのような制服です。ビロード張りのカーペットにソファとと1970年代の退廃的なムードのお店で、センターに身体全体をゴールドに彩ったヌードダンサーが踊っています。

お嬢さま育ちの愛が、こんなムードのお店でアルバイトすること抵抗感を感じないでバイトを続けられるとは思えませんが、一生懸命働く健気なすがたの愛を彼女を一途に思う岩清水がじっとずっと見守り見つめています。お嬢さま育ちの愛は、お客さんにちょっと話しかけられただけで激しい嫌悪感「いやらしい仕打ちだわ」。とてもじゃなありませんが、愛はこのアルバイトをいつまで続けられるのでしょう。

誠のために一生懸命働いている愛ですが、誠はそんなことも知らずにその夜も新宿の繁華街でチンピラたちに絡まれて乱闘騒ぎに大騒ぎ。この夜の誠の騒ぎで名門校降雨の面汚しが決定付けられて、校長たちも目くじらを立てるのです。

怪しい喫茶店で、アルバイトをしている愛ですが、遂にみんなの前で変な踊りをさせられることになりついにお嬢さまが見世物扱いになってしまうのです。愛にいかがわしいダンスではなくフラダンス程度のものではありましたが、お嬢さまの愛にとってはたとえフラダンスのようなものであってもそれは精一杯のこと。そして岩清水にとっても精一杯の努力でしたが、誠は「アホらし」と何も言わずに帰っていき挙句の果てには、愛のアルバイト姿の写真を撮って両親に「愛はとんでもないアルバイトをしている。この写真をばら撒いて欲しくなかったら100万円出せ。」と口止め料まで要求してきました。

娘の願いとあらば、と今まで金銭的にも援助していた愛の両親ですが、今回のことでさすがに堪忍袋の緒が切れます。

「嘘じゃない。あの子は悪魔よ。」と2人は決めポーズを決めながら、誠はついに高校も退学処分となりました。